花菜のサラダ


「汽車は関ヶ原を出てから間もなく近江の国境にはいる。両側の平地には菜の花が一面に咲き乱れて見渡すかぎり遠くまでつづいている-------」

明治の終り汽車で京都に向う途中の風景を谷崎潤一郎はこう記しています。童謡にもうたわれた通りかつての日本の春はどこもかしこも菜の花畑がひろがっていました。

古都奈良に春告げるお水取りも始っていよいよ春間近か、八百屋さんの店先には花菜が春を告げています。花菜とは、寒咲菜種と呼ばれる寒さに強く品種改良された菜の花。なんとお正月には、もう花をつけ切り花として重宝されていますが、そのつぼみの時期に収穫したものが小さな束で食用として売られているのです。とはいえ雪が舞ったりキリキリ冷えこむ頃はいくら店頭に並んでいてもあまり意識しませんが昨今の春めいた陽気になるとようやく「あ、花菜」と気づくのです。

菜の花は、室町時代ころからその花のあとの実からとれる菜種油が灯りとして、又食用油として重宝され広く栽培されてきました。
しかし石油の登場、そして電気の普及で灯りとしての用途はなくなり近年では食用油としてだけになり、かつてのようではなくなりました。

近頃、デパートには、食用としてつくられたバラやハイビスカスなどが食べられる花、エディブルフラワーと呼ばれて売られていますが、花菜は食用菊と並んで日本を代表するエディブルフラワー。

かわいいつぼみの先からちょっと黄色く色づいた花菜には、春の先陣をきって登場した野菜の生命力とエネルギーがあふれています。

からしあえ、おひたし、天ぷら--------いずれもそのほろ苦さがいかにも春の味。
「春は苦味を盛れ」のことわざ通り、その苦味には冬の間じっとたえてきたヒトのカラダをめざめさせてくれる力があるのです。

この花菜、サラダにするといっそう春の味が楽しめます。太い茎には縦に包丁を入れ、沸騰したお湯に塩をひとつまみしてさっとお湯にくぐらせたら冷水に---------。花菜のみどりがいっそう鮮やかに変わります。一寸豆のゆがいたのとグレープフルーツの酸味をそえて軽くドレッシングを---------。食卓に春がスタートします。

花粉のニュースが毎日つづき、街中にマスクをした人が急にふえました。今年こそ「はじめてのお灸 moxa」で灸養生。つづけてみてはいかがでしょう。
sennenq * - * 15:03 * comments(0) * trackbacks(0)

花わさび


めっきり春めいた八百屋さんの店先の一角に鮮やかな緑の若葉の中に点々と小さな白いつぼみのついた、ふだん見かけない野菜が並んでいました。

昨今、野菜というと根まで美しく洗われて売られているのが普通ですが、見つけた野菜は畑をそのまま切りとって持ってきたかのように四角い箱一杯にびっしり立っていました。一束持ちあげると長い茎の先は、なんと水の中。だから小さなつぼみも葉っぱも生き生きとしていたのです。

これは花わさび。白い小さなつぼみはもう少しすると白い十字のかわいい花がつくそうですが、食べるのは、つぼみの頃の今がベストとか。そういえば、今が旬の花菜もつぼみのまま売られています。

わさびといえば普通あの根の部分をさしますが、花わさびもこの小さなつぼみ、すっと伸びた茎、小さな葉もすべてわさびのあの味が含まれており、おなじみのわさび漬けはこの茎葉根を刻んで塩漬けして甘味を加え、酒粕に漬けたもの。わさびの花は、根の成長をさまたげるので、かつては捨てられていましたがもったいないと市場に登場すると、あっというまに人気の春野菜になったのだそうです。

わさびは「ワサビアジアポニカ」という学名を持つ通り、日本に自生していたもの。奈良時代にはもう食べられていたそうですが、本格的に栽培されるようになったのは江戸時代、静岡で始まりました。わさびは、夏涼しく冬暖かな水温10℃ー17℃の清らかな清流が豊富にあるところと条件がきびしいため今も静岡をはじめ伊豆、信州、山口などときわめて限られています。

わさびは成長するまでに3〜4年もかかりますが、この花わさびも実は一昨年の秋に種がまかれたものが冬をこえて夏をこえて2回目の冬にやっと花をつけたという貴重なもの。春の香りは天ぷらによし、おひたし、しょうゆ漬--------香りで味でせいいっぱいの春を届けてくれます。そして残しておいた数本の花わさびがキッチンの窓ぎわで、春の訪れをカウントするかのように春の光に毎日少しづつ小さなつぼみをふくらませています。

気温があがると心うきうきですが、そろそろ花粉情報のニュースもとびかいはじめています。花粉症には「はじめてのお灸 moxa」を手の合谷、孔最、そして足三里などに。内部より体調を整えるツボと鼻づまり解消のツボなどにするのがより効果的、詳しくはホームページのツボBOOKをご覧下さい。
sennenq * - * 12:03 * comments(0) * trackbacks(0)

近江路のおひなさま


今日19日は暦の上では雨水。雪が雨に変わり氷がとけて水になるとあります。
先週九州では春一番が吹いたそうですが、今週はまたきびしい寒さがもどったりと、まさに三寒四温、気まぐれな天気の今日この頃です。

近江の春は、長浜の盆梅展につづいて今、ひな祭展があちこちで開かれています。長浜、彦根、東近江、日野、近江八幡---------大名家のおひなさまや商家に伝えられたおひなさまなど、古いものは江戸時代のものから明治、大正、昭和と時代時代のおひなさまが博物館だけではなく重文に指定された旧家や街中のあちこちで飾られています。年に一度こうして飾られたおひなさまは、さし込む春の光の中、おだやかな表情で訪れる人をなごませています。

ひな祭りの歴史は古く平安時代に無病息災を願って「ひとがた」に自分の願いを託して、川や海に流したのがはじまりとか。3月3日になったのは室町時代、そして女の子の節句を祝うお祭りになったのは江戸時代になってからだそうです。

女の子の成長と幸福を願って飾られるおひなさまですが、最近では30才〜60才台の女性の間で自分のためのおひなさま「マイひな人形」を買い求めて飾る人が増えているそうです。「マイひな人形」を持つ女性達は小さな頃のおもいでをなつかしむ気持ちからインテリアとして又、癒しグッズとして一年中飾るという人も多いとか。そうした傾向もあって、デパートのひな人形売場にはテーブルに置けるコンパクトなものや海外の工房生まれの陶磁器のおひなさまも並んでいます。

かつておひなさまは、3月3日を過ぎて飾っているとお嫁に行くのが遅くなるといわれ、しまわないでと女の子たちが泣き叫んでもさっさとしまわれたもの。それだけに桃の花を飾りぼんぼりに灯りがともり、ひし餅やひなあられを供え、そしてママゴトの道具のような小さなお膳にごちそうが盛られると、そこはまさに女の子の夢の空間だったのです。あかりをつけましょ ぼんぼりに--------。

日ざしは、やわらかくなったものの花冷えどき、寒さに固くなったカラダをほぐして、なにかと楽しい行事の多い春に供えましょう。「はじめてのお灸 moxa」には春待つ気分にピッタリのお花の香りもあります。コリはお灸でストレスは香りでほぐします。
sennenq * - * 14:37 * comments(0) * trackbacks(0)

春浅し


春は草木の芽が「張る」芽がふくらむという意味からきているのだそうです。
春めく、春きざす、春浅し、春動く-------春の表情をとらえた言葉には春という季節の訪れを指折り数えて待つ気持ちがあふれています。

春というのは、ものみないのちのよみがえるとき。それだけに期待も大きくさまざまな春を待つことばが生まれてきたのです。
春浅し四季の中で季節を浅い深いということばでとらえるのは、春と秋だけで夏浅しとか冬深しなんてことばはありません。「秋深し」というとあざやかな彩りのシーズンが終り、ひっそりとした光景をいいあらわしているのに対し「春浅し」には、まだまだきびしい冬という季節の中に春を待ちわびている気持ちに誘いかけるかのようにフッとほほをなでる風のやわらかさであったり、日に日に強くなる光であったりと春の予兆をあらわすことばとしては、とても心にひびくことばですね。

晴れているかと思ったら突然白いものが舞ったり、鴨川の北のほうにつらなる北山が見えなくなるとパラパラッと時雨たりと立春を過ぎてこの時期の京都の天気は春への蠢動のようにめまぐるしく変わります。

私たちは、好むと好まざるにかかわらずやってくるこの気まぐれな自然の営みに対して、立ち向かうのではなく季節の移り変りを教えてくれていると考えて、それをうまく日々の暮らしの中に取り入れてアクセントにして生きてきました。

ちょっと春めいた日など、早やばやと顔を出したふきのとうが食膳をにぎわせます。春の訪れを告げると共に黒土を力強く持ち上げて顔を出したふきのとうのほのかな苦味は大地からの春のメッセージ。「春は苦味を盛れ」といい伝えられる通り芽生いたばかりの春の山野菜の持つ苦味成分には、体をめざめさせ、代謝をうながす成分があるところから、春の食卓にしばしば登場します。季節の訪れを知らせるだけでなく、家族の健康を願うお母さんの気持ちからなのですね。

今年の春のシグナルはもう、みなさまには届きましたか?
春は日一日近づいています。もうすぐの春にそなえてこの時期は、カラダの手入れにはげむべしと昔から伝えられています。春のカラダのお手入れには灸養生がおすすめ、ヒザの外側の足三里に「はじめてのお灸 moxa」を------。ベストコンディションであなたの春を迎えるためにおすすめです。
sennenq * - * 14:47 * comments(0) * trackbacks(0)

冬のおばんざい


きのう4日は「立春」。暦の上では春の幕開けです。
京の台所、錦市場にも早や花菜やふきのとうなど春の食材が顔を見せはじめていますが、まだまだ季節は冬。

この時期、琵琶湖の小魚はきびしい寒さの中でぐんとおいしくなります。いさざ、ゴリ、シジミ、エビ-------その日とれたばかりの旬の小魚が川魚専門のお店の店先に少しづつ並んでいます。ブラックバスなどの外来魚のせいで、めっきりとれる量が少なくなったそうで日によっては入ってこない日もあるほどとか。今ではちょっとした高級魚のようになりつつあります。

そんな琵琶湖の小魚のうちでスジエビと呼ばれる小さなエビを大豆と煮たのがエビマメ。琵琶湖周辺の家々では、豆々しく腰の曲るまで元気でと長寿を願うおめでたい日のたべものだそうですが、京都でもこの時期のおばんざいとしてよく食卓に登場します。お豆さんと呼ばれる大豆がやわらかくなるまで弱火で時間をかけてコトコトコト。そしてエビを入れて味をつけて-------やがてエビのおいしい匂いがただよってきます。

おばんざいというと今ではちょっと気のきいた料理のような扱いをうけていますが本来は京のお母さんが日々つくるおかずと呼ばれるおそうざいのこと。そんなおばんざいの中で大豆はさまざまな食材と煮られて一年中食卓をにぎわせます。
琵琶湖の小魚いさざと煮るいさざまめ、冬においしくなる金時にんじんなどと煮る五目まめ、こんぶと煮るこんぶまめなど、どんな食材とも相性のよい大豆は一年中さまざまな姿で食卓をにぎわせてくれるところから親しみをこめて「お豆さん」と呼ばれてきたのです。

良質の植物タンパク質を多く含むところから畑の肉と呼ばれ、アメリカでは大地の黄金とさえ呼ばれてきた大豆は近年の研究では、生活習慣病の予防につながるレシチン、オリゴ糖、サポニン、イソフラボンなどの成分も含んでいることが判り今や世界中でその多機能ぶりが注目を集めています。なかでもアメリカの国立ガン研究所は大豆をガン予防に有効な食品のひとつにあげているのです。

長寿国日本の秘密は大豆にあるとか。そのコロコロとした小さな姿にまめまめしく元気に暮らせるようにと思いを託してきた先人たちは長い歴史の中で大豆の秘めたチカラにきっと早くから気づいていたのです。
しんとした冬の台所にさし込む光はやさしさを増してきました。
コトコトかすかな音をたてて、お豆さんが煮えています。今日の相手は小魚でしょうか、にんじんでしょうか-------。

日一日季節は春に向って歩みはじめています。
冬の間、どうしてもこわばりがちだったカラダのお手入れは「はじめてのお灸 moxa」で、そろそろ灸養生をはじめてみませんか。足のヒザの外側にある足三里というツボなどがオススメです。
sennenq * - * 11:57 * comments(0) * trackbacks(0)
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