京の手わざ 針金細工
2013.05.10 Friday

針金細工の銅の花カゴに庭の野の花が涼しげにゆれています。
銅の針金をよじり伸ばし又よじってかたちが生まれてくる伝統の手わざ、針金細工。
針金を編むのに道具はありません。熟練の手が板に打ちつけた釘に針金をひっかけ指先だけで針金をあやつるうちに正確な6角形の亀甲ができていきます。
京の針金細工の基本は古くからおめでたいとされるこの亀甲の模様の連続でできているのです。
そして亀甲の大きさによって大きなカゴから手に乗るような小さなものまで、さまざまなくらしの道具が生まれてきます。

そのひとつ、お豆腐をすくうだけの目的から生まれた豆腐杓子はきぬごしのあのなめらかな肌をも傷つけることなくすくうことができるほど繊細なつくりで道具というより工芸品といったほうが似合いそうな美しさです。
針金細工に使われる針金が生まれたのはなんと古墳時代、装飾品として青銅や銅を叩いてうすく伸ばしてつくられた針金のものがいろいろ出土しています。
西洋ではというと紀元前のエジプトで金でつくられたワイヤーの存在が知られています。
洋の東西を問わず針金は最初は装飾品として金などを細かくカットしてよじって強くしたりして使うなどとても高価で貴重なものでした。近世に入り銅や鉄などを熱してダイスと呼ばれる金型の穴を通して引っぱることで量産が可能となり、その用途も工業用としてなどとてもひろい範囲で使われることになったのです。
ヨーロッパの針金細工は最初カゴなどが多くつくられたということもあって直線を組み合わせたシンプルなフォルムのものが多いのですが、京に伝えられた針金細工は同じ暮らしの道具であってもその手わざの美しさが特徴です。ワイヤークラフトと針金細工のコトバの違い以上に文化の違いを垣間見るおもいがします。
長年使ってほころびたりしたら修理もできるそうで、手づくりゆえのあたたかさ、手づくりゆえの手ざわりの良さ、京のくらしの道具は使い込むほどに手になじむ道具なのです。
竹やぶでは将来の親竹として残された竹の子が若竹としてぐんぐん背を伸ばしています。
私たちのカラダもこの時期は新陳代謝も活発になり、ついついオーバーワークになりがちです。日々の体調をととのえるためにも毎日のお灸をお忘れなく。
「はじめてのお灸 moxa」はくだもの、はな、緑茶、香木の四つの香り、今日はどの香りを選びますか・・・・。